NAS(Network Attached Storage)は名前の通り、ネットワークに接続できるストレージ(HDDやSSD)を指します。ネットワークを経由して複数のデバイスから同時にアクセスできる点が便利です。自家製NASの構築にあたり、以下の記事を参考にさせていただきました。
Raspberry Pi 4 + OpenMediaVaultでNASを構築する
【2022年版】ラズパイでファイルサーバーをつくってみた
NAS化する前のRaspberry Piの状態
以前執筆したこちらの記事の内容でセットアップされたRaspberry PiをNASにします。ざっくりと以下のような設定です。なお、NASとして使用したい外付けHDDは、OpenMediaVaultのインストールが終了するまではRaspberry Piに接続しない方が無難だと思います。(私の場合、OpenMediaVaultインストール時点でマウント済みのHDDにはフォルダを作成できませんでした)
- OS: Raspberry Pi OS Lite (64 bit)
- ファイアウォール設定済み
- SSH設定済み(ポート番号も変更)
- exFATでフォーマットされた外付けHDDマウント済み
NASを構築する
早速NASを構築します。個人的にポイントだと思うのは以下の3点です。
- IPアドレス固定化
- SSH接続設定
- HDDのマウント
といってもOpenMediaVaultをインストールしさえすれば、あとはGUI(ブラウザ)の操作で完結するのでそこまで難しいことはないと思います。
OpenMediaVaultのインストール
以下のコマンドでインストールします。ひどく時間がかかる(1時間程度)という記事も見かけましたが、自分の環境ではそれほど時間はかかりませんでした(10~20分程度)。
cd /opt/
wget -O - https://github.com/OpenMediaVault-Plugin-Developers/installScript/raw/master/install | sudo bash
OpenMediaVaultの設定
まず、Raspberry Pi上でifconfig
を実行し、Raspberry Piに割り当てられているIPアドレスを確認します。OpenMediaVaultの設定画面を開くため、ブラウザでhttp://(raspberry piのIPアドレス)
にアクセスします。すると、ログイン画面が表示されるので、ログインします。デフォルトのユーザー名はadmin、パスワードはopenmediavaultです。ログインすると、画面左側にメニューが表示されます。
IPアドレスの固定化
Raspberry Piを再起動するたびに割り当てられるIPアドレスが変わってしまうととても不便です。そこで、Raspberry Piに固定IPアドレスを割り当てます。メニュ→ネットワーク→インターフェースからRaspberry Piのネットワーク情報を確認・編集できます。Raspberry Piを有線で繋いでいる場合はeth0
、無線の場合はwlan0
などのデバイス名を持つ項目がRaspberry Piです。
この時、メソッド欄がスタティックであればすでに固定IPアドレスが割り当てられているため特に編集する必要はありません。そうでない場合、鉛筆マークをクリックして編集します。メソッドをスタティック、アドレスをRaspberry PiのIPアドレス、ネットマスクをサブネットマスク、ゲートウェイをルーターのIPアドレスに設定します。
SSH接続の(再)設定
OpenMediaVaultをインストールした際に/etc/ssh/sshd_config
が上書きされるようで、元々設定していたsshの設定が失われています。Raspberry Piに再びssh接続するため、SSHの設定を更新します。
メニュー→サービス→SSHからSSHの設定画面を開けます。セキュリティの観点から、rootログインとパスワード認証を禁止し、公開鍵認証を有効化します。また、SSH用のポートも変更しましょう。続いて、メニュー→ユーザー→ユーザーから、SSH接続を利用するユーザーの設定をします。
SSH接続を利用するユーザーには_ssh
グループを割り当てる必要があります。また、公開鍵認証のみが有効化されているため、SSH接続を行うためには公開鍵を登録する必要があります。「SSH公開鍵」の欄から登録しましょう。
HDDのマウント(マウント済みHDDをNASに転用)
NASに使用するストレージをRaspberry Piに接続します。メニュー→ストレージ→ディスクからRaspberry Piに認識されているストレージを確認できます。ストレージが正しく認識されていたら、メニュー→ストレージ→ファイルシステムからファイルシステムを作成し、ストレージをRaspberry Piにマウントします。
OpenMediaVaultのインストール前にマウントしていたストレージはこの手順でファイルシステムを作成できないため、他の手順が必要です。ストレージをアンマウントしてから接続しなおすのが順当な手順だと思います。
次に、NASに接続したデバイスからアクセスするための共有フォルダを作成します。メニュー→ストレージ→共有フォルダから作成します。任意のフォルダ名をつけ、先ほど作成したファイルシステムを指定し、適切な権限を与えた上で保存します。
アカウント作成
NASを使用するためのアカウントを作成します。メニュー→ユーザー→ユーザーから+ボタンをクリックすることで追加できます。次に、先ほど作成した共有フォルダへのアクセス権限を付与します。メニュー→ストレージ→共有フォルダのパーミッションから、作成したアカウントに読み書き権限を付与します。最後に、ファイル共有システムを設定します。メニュー→サービスにある、NFSやSMB/CIFSなどがファイル共有システムです。MacやWindowsからアクセスするためにはSMB/CIFSを有効にする必要があります。有効にチェックマークを入れると有効化されます。メニュー→サービス→NFS→共有から、共有フォルダごとにパーミッションやNFSのオプションを設定できます。オプションの詳細はこちらに記載されています。
補足
SMBはポート445を使うため、このポートを閉じていると他のデバイスから共有フォルダにアクセスできません。
以上で一通りの設定が完了しました。
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